2014-08-12 オレンジ色の闇 テトラポットがこわくなかった 島に行って、夜、 オレンジ色の街頭が一本だけ立つ 小さな波止場に 缶ビールを持って友人たちと腰掛けた フナムシが海から這い上がって来て、 その彼らに光を当てて、 透き通ったエビみたいな体と 意外と可愛いつぶらな瞳を見た 波消し岩におりる階段があって、 四人でその岩に降り乗った 黒っぽいところはぬめぬめしていて 波は、透き通っていた オレンジ色の光の下で、 色の分からない夜と友人たちの間で、 テトラポットはこわくなくなっていた 吸い込まれそうな闇はなくて、 瀬戸内の夜はあたたかくて 不安定な足下の上で、 疑いようのない安心を感じていた